2007/02/25

むしの世界も容赦ない弱肉強食


アゲハ 幼虫 アゲハ 終齢幼虫

我が家では、昨年の夏から、アゲハの幼虫の飼育を続けていています。小学2年生の娘と一緒に、えさの木の葉をとってきたり、フンの掃除をしたりと世話をしてきました。夏の初めに飼い始めた最初の二匹は、一匹はすぐに死んでしまったものの、一匹は無事羽化して旅立ってゆきました。鳥のウンチ色の幼い幼虫から、鮮やかな緑色の終齢幼虫、そして、さなぎから成虫へと、ダイナミックな完全変態を遂げて飛び立ってゆく姿を子供と一緒に観察していると、ほんとうに生命の不思議を感じざるをえません。

アゲハ 蛹化直前の幼虫 アゲハ 羽化直後の成虫

夏に巣立った後、9月に庭の山椒の木で見つけた幼虫を二匹再び飼い始めました。こちらは二匹とも順調に成長して、無事さなぎになりました。このまま羽化しても、随分涼しくなって、蜜を吸う花ももう少ないだろうにと心配していたのですが、結局羽化する気配もなく、冬を迎えました。そうか、アゲハはさなぎで冬を越すのかと、これまた娘と一緒に春の羽化を楽しみにしていました。

異変が起こったのは2週間ほど前のことです。さなぎを入れてある虫かごの底で白いものがうごめいていたのです。よくみるとそれは体長1cm くらいの白くてぶよぶよしたうじ虫でした。ふたに付着したさなぎ以外に何もない虫かごのどこからやってきたのでしょうか? まさかと思ってさなぎを調べてみると、腹の横にぬるっとした汁が付着しています。さなぎに寄生したうじ虫が外に出てきたのです! うじ虫は、底にたまったほこりにまみれて、うねうねと体をよじらせていました。家族みんな、これにはほんとうにびっくです。寄生されたさなぎはもう死んだも同然でしょうから、もう一匹のほうに期待をかけるしかありません。

ヤドリバエのさなぎとりあえず、うじ虫を他の容器に移しておいたら、その日の深夜にはもうさなぎになっていました。長さ1cmくらいの茶色いやつです。それにしても、親はいつ、どうやって卵を産みつけたのでしょう?

そして、今日、次の事件が起こりました。娘が虫かごの底にまたあの茶色のさなぎを見つけたのです。もしや、と思ってさなぎを調べてみると、唖然。もう一匹のほうもやられていました。これにはまたまた大ショックです。二匹ともやられるとは! 自然は侮れない、などと、自分自身を納得させようとしていると、虫かごの横に座り込んでうつむいていた娘の目から、大粒の涙が、、、。「ちびくん」、「あおくん」と呼んでかわいがっていただけに、二匹とも寄生虫にやられてしまったのがかなりショックだったようです。春になったら、また庭の木にやってくるよと慰めましたが、そのあともずっとぐずっていました。まあ、これも勉強のうちでしょう。

ヤドリバエに寄生されたアゲハ幼虫

このにっくき寄生虫の正体を知りたいとネットで調べてみるとすぐにわかりました。こちらの解説(ページ中ほど)によると、どうやらこれはヤドリバエのさなぎのようです。ぶよぶよした幼虫もこのページの写真にあるとおりでした。ヤドリバエは、葉に卵を産んで、それを食べた幼虫に寄生するようです。

おそらく、今年もアゲハの幼虫の世話をすることになるでしょうから、寄生虫には注意する必要があります。

追記

古希じいの 「食べる話」: アゲハの蛹がアゲハヒメバチにやられたに以下のような記述がありました。

アゲハヒメバチの寄生したアゲハチョウの幼虫は、蛹化の前に下痢便になると、どこかで読んだような気がするが、そういえば、いつもは真っ黒な丸薬みたいな糞をしているのに、どろっとした液状の糞をしていたことがあって、まさか正露丸を飲ませるわけにもいかないだろうし、と思ったことがあったが、アゲハヒメバチの寄生には思い及ばなかった。

うちの場合、寄生したのは二匹ともヤドリバエのようですが、確かに一匹がさなぎになる前に下痢便をしました。今でも虫かごにその跡が残っています。

追記:さなぎになる前の下痢便は、普通のことのようです。